「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関するG20軽井沢イノベーションアクションプラン」の概要

2019年6月15日(土)と16日(日)の2日間、経済産業省は環境省と共に、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関するG20初の会合を長野県軽井沢市で開催し、25ヶ国・地域、16国際機関の参加のもと、取り組みや長期戦略、具体的なアクションに合意しました。そのうちの一つである「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関するG20軽井沢イノベーションアクションプラン」の概要をご紹介します。

1. G20軽井沢イノベーションアクションプランの位置付け



コンセプト

本アクションプランは、日本がパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略に盛り込んだ「環境と成長の好循環」というコンセプトと、それを支える(1)イノベーション、(2)民間資金の誘導、(3)ビジネス環境整備という3本柱の重要性への合意に基づく具体的なアクションを示したものです。

G20全体の初合意

本アクションプランは、気候変動に関して、これまでより一層踏み込んだメッセージをG20一体となって発出し、気候変動を含む地球規模の取り組みの緊急性、長期戦略の重要性、具体的なアクションの取り組みにG20全体で初めて合意したものです。

その他の合意事項

G20各国の主要な研究開発機関の国際連携を促進するための国際会議として「RD20*」を設立することにも賛同しました。
さらに、資金循環のための産業界と金融界のグローバルな対話の促進、革新的な技術の普及等のためのビジネス環境の改善の重要性にも合意しました。

* RD20:クリーンエネルギー技術に関するG20各国国立研究所等のリーダーによる国際会議(Research and Development 20 for Clean Energy Technologies)

 

2. G20軽井沢イノベーションアクションプランの概要

 

1)イノベーションのために世界の叡智を集めるアクション

● グローバルな産官学間のイノベーションのためのネットワーク拡大を支持

国際協力を強化し、全体論的な視点で各国の状況に応じて、大気・水の関連技術、バイオエネルギー、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)等のあらゆる環境への取り組みにおける革新的な技術及びアプローチの研究・開発及び展開の奨励に努めることを前提に、世界の叡智を結集させるアクションとして、既存の取組と連携し、グローバルな産官学間のイノベーションのためのネットワーク拡大を支持します。

● 研究開発機関・大学・ビジネス間の国際協力の促進

クリーンエネルギー技術、資源・エネルギー効率のためのイノベーションを推進し、さらなる国際共同研究開発を追求するために、G20各国の主要な研究開発機関、大学及びビジネス間での国際協力を促進します。

● 「RD20」は日本のイニシアチブを歓迎

設立が決まった国際会議「RD20」は、気候変動の文脈においてイノベーションに弾みをつけることを目指したG20議長国である日本のイニシアチブを歓迎します。

● 定量分析の重要性や需給両面のイノベーションの役割の認識等

将来のエネルギー需給をより理解するための定量分析の重要性、デジタル化、AI、IoT及びシェアリングエコノミーによって牽引される需給両面のイノベーションの役割を認識すること、そして世界の科学コミュニティ及び国際機関・枠組によってなされる、エネルギー・気候モデルのための経済全般にわたる全範囲シナリオのさらなる洗練及び開発のための努力を支持します。

 

2)民間資金・投資の促進に向けたアクション

● 資金の誘導、市場・投資環境改善への支援

エネルギーアクセス、レジリエンス、よりクリーンな環境及び水へのアクセスを増進するさまざまなエネルギー選択、革新的技術及び質の高いインフラのための資金の誘導、並びに市場及び投資環境の改善の取組を支援します。

● 民間資金・投資の誘導を支持

重要な役割を果たす公的資金、貿易保険といったリスク軽減措置を通じて、機関投資家を含めた、民間資金及び投資の誘導に向けた継続的な努力を支持します。

● 電力分野のビジネス環境改善の促進

再生可能エネルギーの導入の拡大に起因して増大した変動性に対応し、電力の安全と柔軟性を高めるアクション及び革新的な蓄配電技術を活用するアクションを含め、電力分野のビジネス環境の改善を促進します。

● グリッドや電源への投資を推進する電力市場メカニズムの開発

容量市場や市場のひずみの回避等、投資回収の予測可能性を高めることにより、グリッドや電源への投資を推進する電力市場メカニズムの開発を支持します。

 

3)ビジネス環境整備のためのアクション

● G20各国からのアイデア

ビジネス環境の改善やビジネス活動の促進のため、ビジネスマッチング、ワークショップ及びその他の国際的な連携を追求するために、G20各国から可能性のある分野として提案された下記のアイデアが紹介されています。

  • 省エネラベリング及び基準の開発
  • IEAによる省エネグローバルベンチマーク
  • 環境ラベル表示と環境に優しい公共調達基準
  • 透明性の向上と規制の調和
  • 地域及び小規模市場への展開


● 分析研究の立ち上げを歓迎

関連機関やビジネスコミュニティと連携し、官民パートナーシップに焦点を当てつつ、よりクリーンな環境に関連したビジネス機会を育むためのより良いビジネス環境の創出に関する勧告や選択肢を検討し提供するための分析研究の立ち上げを歓迎します。