パッケージエアコンとは

主にご家庭で使用する「ルームエアコン」に対して、店舗や大型施設で利用される業務用エアコンは、一般的に「パッケージエアコン(PAC:パック)」と呼ばれます。ここでは、パッケージエアコンの種類や特徴について解説します。

業務用エアコンの種類

業務用エアコンと言っても、冷暖房能力や、用途、施設の条件によって様々な選択肢があります。

パッケージエアコンの種類

店舗・オフィス用パッケージエアコン 室外機1:室内機1~4

家庭用ルームエアコンの様に、室外機と室内機が対になったパッケージエアコンです。室内機は1~4台で、用途に合わせて、天井カセット形、天吊形、ダクト形、ビルトイン形、壁掛け形、床置き形などから選択できます。一般的に4 kW(1.5馬力)~30 kW(12馬力)程度の冷暖房能力の製品をラインアップしています。

ビル用マルチエアコン 室外機1:室内機 複数

室外機1台に対して、能力内で複数の室内機を設置できるエアコンです。室外機と室内機がセットになったものではなく、能力内で自由に室内機を選ぶことができ、一般的にはパッケージエアコンのカテゴリには含まれません。室内機は天井カセット形、天吊形、ダクト形、ビルトイン形、壁掛け形、床置き形などから選択できます。一般的に45 kW(16馬力)~150 kW(54馬力)程度の冷暖房能力の製品をラインアップしています。略して「ビルマル」とも呼ばれます。

設備用パッケージエアコン 室外機1:室内機1

空冷式と水冷式があり、空冷式は家庭用ルームエアコンの様に、室外機と室内機が対になった工場やホールといった大空間向けのパッケージエアコンです。一般的に14 kW(5馬力)~150 kW(54馬力)程度の冷暖房能力の製品をラインアップしています。

ルーフトップ型パッケージエアコン 室内外機一体型

室内機・室外機が一体型で、主にダクトで給排気を行うパッケージエアコンです。天井が高く、広い空間の施設・設備に向いています。一般的に10 kW(4馬力)~85 kW(30馬力)程度の冷暖房能力の製品をラインアップしています。100%外気を取入れし外調機としての利用が可能な機種もあります。

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パッケージエアコンとビル用マルチエアコンの違い

大きな違いは給電です。パッケージエアコンの場合、室外機を電源につなぎ室内機に給電します。一方、ビル用マルチエアコンは室外機、室内機の電源が異なるため、室内機運転の自由度が高まります。ビル用マルチエアコンも場合によってはパッケージエアコンの範疇ですが、一般的には主に3000m2以上の中大規模建物を対象とした「個別空調システム」に分類されます。

パッケージエアコンの仕組み

基本的には家庭用ルームエアコンの仕組みと同じで、冷媒の冷凍サイクルという圧力と物質(冷媒)の状態を利用し、冷媒を器内に循環させています。この冷凍サイクルには4つの圧力・状態変化行程があります。

1. 凝縮行程 : 高温・高圧になった冷媒ガスから熱を奪い、外気(暖房時は室内空気)に熱を与えることで冷媒が凝縮する

2. 膨張行程 : 高圧の液冷媒の圧力を下げる

3. 蒸発行程 :液冷媒が蒸発することで、 室内空気(暖房時は外気)から熱を奪う

4. 圧縮行程 : 蒸発した冷媒ガスを圧縮させ、高温・高圧の冷媒ガスにする

パッケージエアコンの仕組み
 

ルーフトップ型パッケージエアコンの仕組み

室内機と室外機が一体のパッケージエアコンは、エアコンの中で全ての冷凍サイクルが行われています。エアコンで生成された冷暖房はファンにより給気され、ダクトを通じて室内に供給されます。

フィルターを中高性能フィルターに交換することにより、ウイルス・細菌をシャットアウトする効果が高まり、室内空気質(IAQ)の改善をすることも可能です。より高い空気清浄効果を求める場合、光触媒空気清浄システムや、紫外線照射装置を後付で取り付けることも可能です。