BAS導入で年間約8万ドルの節約

BASのアップグレードとの連携により、約75,000人収容のスタジアムのエネルギー消費量を削減しながら、信頼性と冷凍能力を増加させ、年間約8万ドルの節約を見込んだ事例です。

 

バンク・オブ・アメリカ・スタジアムとは

米国ノースカロライナ州シャーロットにある約75,000人収容のスタジアム。アメフトのプロチーム(NFLチーム)カロライナ・パンサーズが本拠地にしています。

 

課題

米国アメフトのプロチーム(NFLチーム)カロライナ・パンサーズの本拠地であるバンク・オブ・アメリカ・スタジアムは、冷凍能力の追加、高いエネルギーコスト、老朽化したインフラ整備の必要性に直面していました。それらに加えて、オフシーズンが短期間であるという課題もありました。すでにイベントが予定されており、チケットも販売されているため、スタジアムのお客様に快適さを提供しつつ、キャンセルによる不便さや金銭的な負担を減らすために、設備のアップグレードには厳しいスケジュールを守ることが重要でした。また、現場のフットボール選手や管理者の快適性を保つために、改修期間中にも1,000トンの冷凍能力を維持するという課題もありました。

カロライナ・パンサーズのファシリティ・マネージャーのマシュー・ゲッツ氏は次のように述べています。「夏の改修の段階で、当時の冷凍能力では建物の快適性を維持できなっていることが判明しました。また、20年前に建設された既存のチラープラントは規模が小さく、信頼性にも問題があり、エネルギーの無駄が多数ありました。」

「キックオフの約30分前にはファンが到着し、プラントには大きな負荷がかかります。シーズン初めの試合中の暑い日には、冷凍機が温度を維持しようとしますが、追いつきませんでした」と、カロライナ・パンサーズの機械システムマネージャー、シェーン・ウォルデン氏は述べています。「そのため、500トンのレンタルチラーを追加して補助的な冷却をしなければなりませんでした。」

ソリューション

施設の長期的なサービスとメンテナンスの実績、設計ソリューションの提案内容、そしてタイトなスケジュール内でプロジェクトを完了させる能力を判断して、カロライナ・パンサーズのスタジアム運営チームは、必要とされるHVACと制御システムの改修にトレインを選択しました。

トレインとスタジアム施設チームは、チラープラントの設計や機器の選定から実行、施工管理、試運転に至るまで、プロジェクトの成功に向けて両社が協力しました。「プロジェクトの概略を提案し、トレインは私たちのニーズに合ったソリューションだけでなく、新しいアイデアも提供してくれました」とゲッツ氏は述べています。

冷却能力を高める

トレインは地元の電力会社と協力して施設のエネルギー分析を行いました。この調査では、容量を増やす必要性を検証し、老朽化した750トンの冷凍機に代わって新しい1,000トンのTrane CenTraVac®ターボ冷凍機3台を導入した場合に、省エネによりカロライナ・パンサーズが受け取ることのできる電力料金の還付金を算出しました。より効率的な冷凍機は、電気的な仕様を変更することなく、同じ接地面内に収まるようになっています。また、トレイン・レンタルソリューション*を利用し、新しい機器が稼働するまでの間、冷却用のレンタル冷凍機を提供しました。

*日本では行っていないサービスです。

効率を改善

トレインは、プラントを一次・二次・三次の配管システムから、可変流量一次ポンプとブースターポンプシステムに変更しました。これにより、ポンプの総数が減り、エネルギー使用量が削減され、快適性が向上しました。さらに、3台のポンプを再構成することで温水暖房装置の冗長性が強化され、ポンプとチラーの組み合わせに制限なく運転できるようになり、さらにバイパス配管が追加され、低負荷時の一次ポンプ運転を可能にしました。これらの改善により、冷水が制限なく建物内を流れるようになりました。このターンキープロジェクトには、Trane® Performance Climate Changer®エアハンドリングユニットと、3台の冷水ポンプ、3台の冷却塔ファン、8台のクワッドポンプにインバーター(VFD)を設置することも含まれています。

テクノロジーを統合し、制御と快適性の向上を実現

9台のビル制御ユニットを、5台のTracer® SCビルオートメーションシステム(BAS)と4台の通信ブリッジに置き換えました。Tracer® Ensemble™ ビル管理システムは、施設全体のエンタープライズビューとWebインターフェースを提供し、施設管理者はモバイルデバイスを使用してどこからでもシステムにアクセスして制御することができます。チラープラントの制御をTracer UC600にアップグレードし、既存のコントローラを新システムに統合しました。これにより、新たなチラープラント構成への対応、手動でおこなっていた操作の自動化を実現するための広範なプログラミングが完了しました。スタジアムのスケジューリングにBASを使用し、プラント制御の最適化、各スイートルームの温度の微調整、そして500人から75,000人まで変化する建物の来場者数に応じた快適性の制御を行っています。BASを使用すると、施設管理者は遠隔で機器をシャットダウンしたり、バイパスポンプを停止させたり、冷凍機を起動して素早く温度を下げたりすることができます。

最高の状態でシステムを稼働

スタジアム関係者向けのトレーニングセッションは、トレインのシャーロットトレーニングオフィスと、チラープラントでオンサイトトレーニングが行われました。トレインのターンキーソリューションには、スタジアムで開催された最初の3つのイベントのオンサイトサポートが含まれており、障害を阻止しました。トレインの専門技術者による冷凍機と制御装置の四半期ごとのメンテナンスにより、システムが最高の状態で稼働していることが保証されています。

 

結果

カロライナ・パンサーズのスタジアム運営チームは、トレイン社と提携してチラープラントとBASのアップグレードを完成させ、期限を厳守しながら、建設期間中も施設を稼働させ続けました。このプロジェクトでは、効率を改善してエネルギー消費量を削減しながら、信頼性と容量を向上させ、カロライナ・パンサーズの試合中に選手やファンを快適に保つことができました。アップグレードの結果、年間80,000ドルの節約が見込まれています。またトレインは、カロライナ・パンサーズが地元の電力会社からのエネルギーの還付金を申請するのを支援しました。

「容量が増えたことで、夏の暑いゲームの負荷を補助的な冷却なしで運営することができるようになりました」とゲッツ氏は述べています。「私たちには厳しい設定値とスケジュールがありましたが、トレインはそれを実現してくれました。」