建物から排出される二酸化炭素の原因とは

炭素排出量(または炭素生産量)とは、直接、間接、またはバリューチェーンによって発生するCO2量の一般的な測定値です。一方、カーボンフットプリントは、すべての炭素排出量の合計で表される組織全体のインパクトの総計です。同じ意味で使われることもありますが、これらの用語の違いを理解することが重要です。運用レベルでの具体的な行動がカーボンフットプリントに大きな影響を与えるため、建物や施設の意思決定者にとってその総炭素排出量が最も重要な要素となります。

建築物から排出される二酸化炭素の主な原因は、二酸化炭素を大量に排出する電力網(多くの場合、石炭火力発電)からの電力の使用、化石燃料の大量使用、高GWP(地球温暖化係数)冷媒などです。EPA(米国環境保護庁)は、これらの排出を3つのスコープに分類しています。

スコープ1は、建物/施設の現場プロセスによる直接的な二酸化炭素の排出。

スコープ2は、電力消費に起因する間接的な二酸化炭素の排出。

スコープ3(*1)は、組織の上流および下流活動に関連するバリューチェーンの二酸化炭素排出を意味します。

スコープ1とスコープ2のみ、日々の建物や施設での活動に直接関連する排出量です。

 

スコープ1「直接」排出量

直接的排出は、建物の暖房や電力供給のために、敷地内で化石燃料を使用した結果です。ほとんどの炉やボイラーは化石燃料で稼働しており、この炉やボイラーに依存した熱供給は、二酸化炭素排出量に大きな影響を与えます。ヒートポンプや自動制御など、外気温や時間帯に応じて建物の気候を調整する仕組みがない建物では、さらにこの傾向が強まります。

もう一つの一般的なスコープ1における排出は、有害な温室効果ガスを排出する高GWP冷媒を漏出する古いまたは非効率な空調設備から生じるものです。

これら2つの一般的な建築手法は、企業にとって財務的にも環境的にもますます不利な影響を与えることになります。

 

スコープ2「間接」排出量

間接的排出は、建物のエネルギー効率の悪さ(熱が意図せずに建物に出入りすること)の結果です。この非効率性により、建物への空調の需要が高まり、快適な温度を維持するために、より多く稼働することになります。建物の電力需要が増加すると、電力網への需要も増加します。 電力網の二酸化炭素排出量が多ければ多いほど、環境面でも経済面でも大きな影響を与えます。

2020年、電力部門は米国の温室効果ガス総排出量の25%を占め、全米で2番目に大きな排出源となっています。2020年の電力部門における主な排出源は、石炭と天然ガスの利用です。

● 石炭使用(最も炭素集約型の技術)が約54%を占める

● 天然ガス使用量が39%を占める (*2)

 

まとめ

スコープ1とスコープ2の排出量の影響を理解することは、建物の管理者が自らの施設に関連する炭素排出量を特定する上で明確な指針となります。また、脱炭素化への道筋をつけるための確かな基礎となります。お客様の施設のニーズや目標に合わせてカスタマイズされたプランを、トレインと共同で開発してみませんか。どのような状況であっても、まずは始めることが肝要です。

 

トレインは、グローバル・クライメート・イノベーターであるトレイン・テクノロジーズの戦略的事業です。トレイン・テクノロジーズはサステナビリティの業界リーダーとして長い歴史を持ち、2030年までに顧客の二酸化炭素排出量を1ギガトン(10億トン)削減することを目指す「ギガトン・チャレンジ」を含む、大胆な「2030年に向けたサステナビリティコミットメント」を掲げています。

 

出典「U.S. Green Building Council」

*1:上流スコープ3は製品に使用される部品の生産に関わる排出量、下流スコープ3は製品そのものの使用に関わる排出量

*2:https://www.epa.gov/ghgemissions/sources-greenhouse-gas-emissions

 

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