英仏海峡トンネルのノンフロンターボ冷凍機入替

世界最大級の海底トンネル「英仏海峡トンネル*」における他社製冷凍機からトレインのEcoWiseノンフロンターボ冷凍機への入替により33%の省エネが達成された事例を紹介します。

海底部総距離世界最長の海底トンネル

* 英仏海峡トンネル:グレートブリテン島(イギリス)とヨーロッパ大陸(フランス)間のドーバー海峡(英仏海峡)を結ぶ、鉄道用海底トンネル。英仏両語では単に「海峡トンネル」と呼ばれる。全長50.5km、海底部総距離37.9m。他にドーバー海峡トンネルまたはユーロトンネルと呼ばれる場合もある。グループ・ユーロトンネル社が保有・管理している。

英仏海峡トンネルは1994年に完成した海底部総距離では青函トンネルを抜いて世界最長の海底トンネルです。建設当時、ヨーロッパ最大のプロジェクトの一つとされ、完成には5年が要されました。

英仏海峡トンネルは計3本で構成され、その内2本は鉄道用で高速鉄道ユーロスター**とユーロシャトル***が通行し、残り1本は整備用トンネルです。

  • **:英仏海峡トンネルを通ってイギリスと大陸ヨーロッパとを結ぶ高速国際列車
  • ***:英仏海峡トンネルのカートレインのシャトルサービス

世界最大級の空調システム

トンネル内部の気温は高速鉄道ユーロスターの通過により最大50℃まで上昇し、鉄道内部の気温上昇、電子機器の不具合、線路の変形に影響を及ぼすことが懸念されました。そのため、トンネル内の空調システムとして、計8台(イギリス側4台、フランス側4台)のターボ冷凍機が導入されました。

このターボ冷凍機により冷却される約7万キロリットルの冷水は、直径約60cm、全長約480kmの配管を介して搬送され、トンネル内部の気温を約25℃に保っています。

このプロジェクトの総額は現在の価値で約2億5千万ユーロ(約325億円)とされ、世界最大級の空調システムと言われています。

ノンフロン冷媒ターボ冷凍機への入替

建設以来使用されていたターボ冷凍機の老朽化及び、冷媒R-22が欧州Fガス規制により使用できなくなることから、ターボ冷凍機の入替が検討されました。 その結果、ノンフロン冷媒R-1233zdを使用し、同クラス最高効率、100%負荷、部分負荷特性においても業界をリードする、トレインのEcoWiseノンフロンターボ冷凍機への入替が決定されました。

結果:ターボ冷凍機入替により33%の省エネを達成

本年5月、英仏海峡トンネルを管理しているグループ・ユーロトンネル社は、今回のターボ冷凍機の入替初年度実績として、少なくとも33%(4.8GWh)の省エネを達成したと正式に発表しました。4.8GWhの電力は、電力料金として約50万ユーロ(約6,500万円)、約1000世帯の年間電力使用量に相当します。

また、EcoWiseノンフロンターボ冷凍機に使用されている冷媒R-1233zdは、GWP(温暖化係数)が1であり、英仏海峡トンネルの空調システムの環境性能が大幅に向上しました。これらは、英仏海峡トンネルの持続可能性が飛躍的に向上したことを裏付ける結果となり、英仏海峡トンネルはカーボントラストスタンダード****を取得しました。

  • ****:温室効果ガスの削減実績と毎年さらなる削減の確約を証明する、カーボン・トラストが発行する証明書

 

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