冷房の排熱を暖房エネルギーへ転換:欧州大手の電子機器工場における熱回収(ヒートリカバリー)刷新プロジェクト


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課題

電子機器のパッケージング、アセンブリ(組み立て)、および検査において欧州最大手となる企業が、既存のガスボイラーの更新期を迎え、代替となるヒートポンプソリューションを模索していました。

この工場では、電子機器の製造プロセス中に発生する湿気を抑える(除湿)ための「冷房」が必要である一方、働く900人の従業員の快適性を維持するために「冷房と暖房の両方」を同時に必要としていました。施設はポルトガル・大西洋沿岸に位置し、その広さは50万平方フィート(約46,000平方メートル)に達します。

同社は現在、暖房システムの電化をはじめとする持続可能なソリューションを組み合わせることで、自社運用の脱炭素化に注力しています。炭素排出量を完全にゼロにすることは容易ではないと認識しつつも、将来的には運用の大半を再生可能エネルギーで賄うという明確な目標を掲げています。

今回のプロジェクトにおける最大の技術的課題は、一般的なヒートポンプで想定される凝縮器(コンデンサー)側の出入口温度差(デルタT)が「10℃」であるのに対し、この現場では「16℃のデルタT」に対応しなければならない点でした。さらに、製造プロセス特有の複雑な冷暖房の同時需要を満たすことも、難度の高い課題の一つでした。

解決策

この工場の製造プロセスでは、年間を通じて極めて精密な温度および湿度管理が要求されます。現場の綿密な分析に基づき、トレインのローカルエンジニアチームは、水熱源(水対水)ヒートポンプ「XStream RTWF 420 HSE」の導入を提案しました。

一般的な多くの施設(ビルや工場)では、冷房負荷と暖房負荷が同時に発生している(オーバーラップしている)にもかかわらず、チラー室とボイラー室が完全に分離されており、2つのシステム間に相互作用がありません。しかし、この「RTWF」水熱源ヒートポンプは、冷房と暖房の系統を一つに連結します。これにより、工場に必要なすべての冷房能力を提供しながら、その副産物として発生する排熱を回収して暖房エネルギーへと有効利用(ヒートリカバリー)する、画期的なシステムを構築しました。

トレインの「XStream」ヒートポンプは、エネルギー消費を最小限に抑えるという設計思想のもとで開発されており、全負荷時はもちろん、日本の運用で重要となる「期間(部分)負荷時」においても市場をリードする高い効率性を発揮します。

さらに、今回選定された高季節効率(HSE)バージョンには、トレイン独自のインバータ技術「Adaptive Frequency™ Drive」が標準搭載されており、以下のメリットを提供します。

  • 部分負荷条件におけるエネルギー効率の劇的な向上
  • 現場の負荷変動に追従する高精度な能力変調

トレインのXStreamヒートポンプは、従来のボイラーに代わる極めてスマートな選択肢であり、以下のような独自のイノベーションを備えています。

  • 高温アプリケーション専用に設計された、トレインが誇る業界トップクラスの高信頼性圧縮機(コンプレッサー)
  • フルコネクティビティ(遠隔監視)に対応した、新世代のスマート制御システムとインターフェース
  • トレインが特許を保有する、コンパクトで高性能な低冷媒量(CHIL)満液式蒸発器

結果

XStream RTWFは、幅広い運転マップ(動作領域)を備えており、どのような環境条件下でも極めて高温の温水を安定して供給できるように設計されています。これにより、工場が必要とする温度レベルを一切落とすことなく、化石燃料への依存度を大幅に減らし、企業のカーボンフットプリント(環境負荷)を最小限に抑えることに成功しました。

 

排熱利用:ヒートポンプソリューションが電子機器メーカーのエネルギーコストを削減

ポルトガルの顧客工場において、トレインのソリューションは「1,750 kWにのぼる暖房熱の回収・再利用(ヒートリカバリー)」を行うように設計され、無駄のないエネルギー循環システムを実現しました。この熱は、これまでのように冷却プロセス(冷房)の際の大気へ捨てる廃棄熱ではなく、価値ある副産物として「無料」で回収され、館内の暖房へと再利用されています。

ヒートポンプから生み出される1 kWhの熱は、そのままボイラーで消費される燃料の削減(1 kWh以上)を意味します。今回導入されたヒートポンプのサイズは、工場が必要とする最大冷房能力をベースに最適化されているため、利用可能なすべてのフリーヒーティング(排熱利用)を余すことなく活用でき、既存のボイラーの稼働率を劇的に最小化することに成功しました。

※本記事で紹介した海外の製品仕様や一部サービスは、日本国内においては取り扱いが異なる場合がございます。トレイン・ジャパンでは、国内の法基準や各施設の敷地条件・運用要件に合わせた高効率な空調・換気システム、既存設備の省エネ改修(レトロフィット)をご提案しております。詳細はお気軽にお問い合わせください。

 

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