専門家に聞く:空調制御(コントロールシステム)の刷新が脱炭素化の成否を分ける理由
本記事は、脱炭素化、ソリューション、そして現代の建物における最新の設備制御の重要性を探る三部作シリーズの第二部です。
トレインの専門家が、脱炭素化に関する規制やインセンティブが顧客のプロジェクト選定にどのような影響を与えているか、そしてなぜほぼすべてのプロジェクトに制御システムが含まれているのかについて語ります。
アンドリュー・フレドリクソン
コロラド州&ワイオミング州コントロールズ営業チームリーダー
海外(米国コロラド州)では、ビルオーナーはどのようなサステナビリティへの圧力に直面していますか?
担当専門家(アンドリュー):
多くのビルオーナーが懸念しているのは、環境規制と企業イメージ(パブリックイメージ)です。
例えばデンバー市では、建築物のエネルギー消費効率(EUI)削減を義務付ける条例が施行され、2030年に向けた段階的な削減目標が設定されています。これにより、これまで脱炭素化を優先していなかったオーナーも、高額なエネルギーコストや罰則(ペナルティ)を回避するために具体的な行動を迫られています。また、先進的な企業は自ら温室効果ガス削減目標を設定し、年次レポート等で積極的に開示しています。
現場の商談では、脱炭素化の話題はどのように現れていますか?
アンドリュー:
単に「電気代を減らす」だけでなく、脱炭素化を見据えたエネルギー戦略として、トレインに相談される管理者が増えています。
大企業では、設備投資の決定権を持つ経営層がサステナビリティの視点でプロジェクトを評価するため、現場の設備チームには具体的な削減数値目標が課されています。そのため、機器が寿命を迎えた際の更新・アップグレード計画には、従来よりも多くのステークホルダー(経営層やESG担当者)が関与するようになっています。
現在、脱炭素化の要素が強い大型プロジェクトに携わっているそうですが、どのような内容ですか?
アンドリュー:
老朽化した大型の既存ボイラー数台を更新するプロジェクトです。お客様のサステナビリティ目標や企業イメージについて対話を重ねる中で、このビルが「暖房と冷房の大きな負荷が同時に発生する」という特有の課題を持っていることが分かりました。そこで、単なるボイラーの更新ではなく、排熱回収ヒートポンプと「蓄熱システム(サーマルストレージ)」を組み合わせた、ピーク負荷を削減する大型プロジェクトへと発展させました。政府の環境投資への補助金(インフレ抑制法等)も活用し、資金調達を行っています。
そこで「制御(コントロール)」の要素が重要になるのはなぜですか?
アンドリュー:
複雑な熱源プラント(チラーやヒートポンプ、蓄熱槽の統合システム)を効率よく連動させるには、高度な制御(コントロール)が不可欠だからです。お客様からも「システムが複雑な分、制御が肝になる」と強い期待を寄せられました。単に個々の機器が動くだけでなく、建物全体の冷暖房の需給をリアルタイムで把握し、システム全体を最適化できるトレインのローカル体制と、グローバルな脱炭素専門チームの知見がこのプロジェクトを支えています。
一般的な規模のビルでは、制御を活用してどのように脱炭素化を進められますか?
アンドリュー:
平均的な規模のビルであれば、大規模な機器更新をしなくても、最新の制御テクノロジーへのアップグレードと「運転シーケンス(制御プログラム)の改善」だけで、劇的な省エネとコスト削減が可能です。すでに最新のビル管理システム(BAS)が導入されている場合は、運用状況を深く分析(ディープダイブ)することで、さらに多くのCO2削減ポイントが見つかります。当社のインテリジェント・サービス(遠隔監視・分析)を利用すれば、実際のビル稼働データから改善策を正確に特定できます。
予算的に、システム全体の完全な一新(フルリニューアル)が難しい場合の現実的なスタートラインは?
アンドリュー:
「スモールスタート(段階的な改修)」で全く問題ありません。 すべてのビルオーナーが、最初から最新の大型設備を導入する予算や必要性を持っているわけではありません。現在お使いの機器をそのまま活かし、上位の「中央監視コントローラー」や「個別機器の制御システム」を最新のものに交換するだけでも、大きな省エネ効果(投資対効果)を得られます。既存のBAS機器を一度にすべて廃棄して入れ替える必要はありません。まずは管理画面(フロントエンド)と通信の基幹部分を更新するロードマップ(移行計画)を立て、その後、ビル全体をフェーズ(段階)に分けて改修していくのがスマートで現実的なアプローチです。
著者について
アンドリュー・フレドリクソン
コロラド州およびワイオミング州のコントロール セールス チーム リーダー
アンドリューは、デンバーの トレインオフィスでコロラド州およびワイオミング州のコントロール セールス チーム リーダーを務めています。現在の役職では、彼と彼のチームは建物の所有者、エンジニア、請負業者と協力して、快適でエネルギー効率の高い空間を作り出しています。ユタ州ソルトレイクシティで 6 年間過ごし、ユタ州、アイダホ州、ワイオミング州西部の BAS ビジネスを成長させました。2022 年、アンドリューはデンバー オフィスに復帰し、現在の役職に就きました。トレインに入社する前は、アイオワ州立大学を卒業し、産業および製造システム工学の学位を取得し、セールス エンジニアリングを副専攻しました。
1. Center for Climate and Energy Solutions. US State Greenhouse Gas Emissions Targets. Web. Accessed Sept 2023.
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