営業・サービス拠点

製薬大手オルガノン社のヒートポンプ導入:工場脱ガス化事例

Installation_2XRTSF_1xCXAF_pharma_NL.jpg

課題:2035年までの気候中立達成と、広大な産業敷地における脱ガス化

グローバルヘルスケア企業であるオルガノン社(Organon)は、女性の健康向上に注力し、世界60カ国以上に約10,000名の従業員を擁するグローバル企業です。同社のオランダ・オス(Oss)にある生産拠点は、世界6工場の中で最大規模を誇り、1,200名以上の従業員が稼働しています。

この広大な敷地には多数の建物が点在していますが、同社はサステナビリティ(持続可能性)目標として、2035年までに敷地全体を完全に持続可能な設備へと移行し、ガス利用を廃止(脱ガス)して気候中立を達成するという高いゴールを掲げていました。

この目標に向け、生産プロセスやオフィス環境の快適性を損なうことなく、既存のボイラーや旧式設備をいかに効率的に電化(ヒートポンプ化)していくかが大きな課題でした。

 

解決策:個別最適化(デコンストラクテッド型)アプローチと、レンタルを活用した冬期テスト

オルガノン社はトレインと協働し、敷地内の各建物へ段階的に超高効率なヒートポンプを導入するプロジェクトを始動させました。

1. プロジェクト①:生産棟へのデコンストラクテッド(分散型)暖房システムの導入

第一のプロジェクトとして、生産棟の暖房システムの刷新を行いました。 

  • 既存の課題:従来、生産複合施設全体は、合計出力8,000 kWに及ぶ4台の中央暖房ボイラーによって暖められていました。また、冷房用には15台の大型水冷スクリュー冷凍機(トレイン RTUD)が稼働していました。
  • トレインの提案:中央ボイラーを一括更新するのではなく、建物の各セクションにヒートポンプを分散配置する「デコンストラクテッド(分散型)」アプローチを採用しました。これにより、トレインの水熱源ヒートポンプ「Sintesis™ Balance RTWB」や「City RTSF」を選定。生産プロセスに必要な圧縮空気の冷却(冷房)を行うと同時に、その排熱を回収して24時間365日の暖房(給湯)エネルギーとして再利用するシステムを構築し、大幅な省エネとボイラー依存からの脱却を達成しました。

2. プロジェクト②:オフィス棟における「レンタルヒートポンプ」を用いた冬期実証

第二のプロジェクトでは、別エリアにあるオフィス棟の帯水層蓄熱システム(HCS:Heat-Cold Storage)の改修に取り組みました。

  • 冬期の代替熱源確保とテストを兼ねたレンタル:2023〜2024年の冬期が迫る中、改修工事中の代替熱源が必要となりました。そこでオルガノン社は、トレインのアドバイスのもと、空冷式レンタルヒートポンプ「CXAF 100」を導入し、冬の間運用しました。
  • 「Try before you buy(購入前の検証)」としての成功:この一時的なレンタル運用は、実証テストとしての役割も果たしました。約25℃の低温温水であっても、エアハンドリングユニット(AHU)へ効果的に熱を供給できることが現場で実証され、システムへの確信に繋がりました。

 

結果:数千ギガジュールのエネルギー削減と、確信に基づいた本常設機器の発注

プロジェクトはオルガノン社の脱炭素インフラへの移行を強力に後押しする大成功を収めました。

  • 数千ギガジュール(GJ)のエネルギー削減:
    生産棟とオフィス棟に導入されたサステナブルなヒートポンプにより、年間を通じて安定した冷暖房を供給しながら、大幅な省エネ(数千ギガジュール規模の削減)を達成しました。
  • 実証成果に基づく「常設機器」への正式発注:
    レンタルヒートポンプ(CXAF 100)による冬期運用の優れた成果を受け、オルガノン社はテスト終了後、即座に2サイズ大型の常設用ヒートポンプ「Trane CXAF 130」の正式購入を決定しました(2024年中頃に納品・稼働開始)。
  • 2035年気候中立へのロードマップを確立:
    この2つのプロジェクトの成功を受け、敷地内にあるその他多くの建物へのデコンストラクテッド型ヒートポンプの導入計画が現在進行中で動いています。

 

「トレインと共に最もサステナブルなソリューションを追求した結果、水熱源ヒートポンプの導入に行き着きました。24時間365日の冷房と暖房を同時に実現することで、非常に大きなエネルギーコスト削減を達成できています」
—— オルガノン社 プロジェクトエンジニア