「サステナビリティ(持続可能性)」は企業にとって最優先の課題となっていますが、その対象範囲が広すぎるため、目標を具体的な行動に落とし込むのが難しいケースが多々あります。その中で「脱炭素化」は、より大きな持続可能なビジネスモデルを構成する、明確で戦略的な一連の施策を指します。
脱炭素化とは何か?なぜ今、重要なのか?
脱炭素化とは何か?
脱炭素化とは、温室効果ガスを排出する化石燃料の消費などによって、炭素ガスが大気中へ放出されるのを防ぐ、あるいは削減するプロセスのことです。
自動車が燃費向上や電気バッテリーへの移行によって排出量を削減しているのと同様に、建築物(ビルや工場)の脱炭素化も進んでいます。脱炭素化は一朝一夕に達成できるものではなく、継続的な取り組み(ジャーニー)です。
しかし、どのような取り組みであっても、将来に向けた正しいビジネス上の決断を下しているという確信が必要です。そして、脱炭素化戦略の実行が、企業の収益(ボトムライン)、従業員、そして地球環境にどのような影響を与えるかを、ステークホルダーに対して明確に説明できなければなりません。
なぜビル・施設における脱炭素化が重要なのか?
脱炭素化には、組織が炭素排出量を削減し、将来の意思決定の判断材料となるデータやインサイトを収集することを可能にする、意図的な戦略と測定可能な行動が含まれます。
現在、脱炭素化への移行を後押ししている主な要因は、財務面と法規制面の双方にあります。
1. ステークホルダーや投資家コミュニティからの圧力
20年前、サステナビリティの領域は、豊富なリソースを持つ一部の大企業だけのものでした。しかし、ここ5〜10年の間に、あらゆる規模の企業に対して、脱炭素化を最優先事項としてサステナビリティへの具体的な取り組みを行うよう、ステークホルダーや投資家コミュニティからの圧力が強まっています。
2. 炭素税の導入とカーボンプライシング(炭素の価格化)によるコストリスク
国や自治体による法規制の強化、および「炭素税(地球温暖化対策税)」をはじめとするカーボンプライシング(排出量への課税や市場取引制度)の導入は、企業が脱炭素化へ舵を切る最大の原動力となっています。
日本国内でも、CO2排出量に応じた課税措置に加え、「GX-ETS(排出量取引制度)」の本格運用がスタートしており、さらに今後は「化石燃料賦課金」の導入など、炭素排出に対する実質的な経済的負担は段階的に引き上げられる計画です。
これらの税制・規制の強化は、空調設備や熱源の効率化(省エネ)を怠るビルや工場にとって、そのまま「将来的なコスト負担の増加」に直結することを意味します。今のうちに脱炭素化に向けた実行可能な目標を設定することは、迫りくる制度リスクから自社の事業継続性を守る(フューチャープルーフ)ために不可欠な経営戦略なのです。
【国内の法規制に関する主な情報源・出典】
3. エネルギーコストの高騰
多くの地域で電気料金の大幅な上昇が予想される中、企業はエネルギーコストと炭素影響に直面し、次の3つの重要な要素に注視しています。
- エネルギーの消費量(省エネ)
- エネルギーを消費する時間帯(ピークシフト)
- 供給源における再生可能エネルギー(排出量ゼロの電力)の割合
エネルギー消費と運用コストの削減によって得られる具体的なメリットは、創出した原資(資本)をビジネスの他の成長分野へ再投資できる点にあります。
4. 市場および消費者の評価
企業は、自らの行動が顧客や同業者からどのように評価されているか(コーポレートイメージ)にますます敏感になっています。今日の消費者は、企業の行動、モラル、価値観、そしてミッションに基づいて購買意思決定を行っています。企業はレピュテーション(企業の評判)が重要であることを理解しており、脱炭素化へのコミットメントが競合他社との強力な差別化要因になることを認識しています。
5. 気候変動への対策
炭素排出量の削減は、地球温暖化を緩和するための最も確実で主要な手段です。この変革に有意義な形で参画することは、単なる社会的責任(CSR)への取り組みにとどまらず、企業の存続に関わる重大な経営判断であると認識されています。
脱炭素化への道のり
あらゆる規模の企業にとって、サステナビリティが優先事項になりつつあるのは素晴らしい進歩です。
しかし多くの場合、目に見えやすい事業活動ばかりに注目が集まり、世界全体の温室効果ガス(GHG)排出量の約40%を占める「建築物(ビル・施設)」※1の対策は見落とされがちです。
脱炭素化への道のりは、設備の更新、コネクテッドサービス(遠隔監視・運用最適化)、あるいはネットゼロエミッションの達成など、各企業とその保有するビル固有のニーズに合わせてカスタマイズされた計画から始まります。
明確な目標を設定すると同時に、重要なのが「進捗の評価」です。監視、記録、文書化、およびレポート作成が可能なインテリジェントサービス(スマートビル技術)を導入することで、説明責任を果たし、企業や主要なステークホルダーに対する投資の妥当性を証明(可視化)できます。
脱炭素化戦略は、大規模ビルから小規模施設、新築からリニューアル(既存改修)まで、あらゆる規模とステージに対応可能です。
※1 建築物(ビル・施設)のGHG排出量: 建物の建設(資材製造・施工)から、日々の運用(空調・照明などのエネルギー消費)、廃棄に至るまでのライフサイクル全体で発生する温室効果ガスを指し、グローバル規模で大きな割合を占めているため、空調設備や熱源の効率化が最優先課題とされています。
ご存知ですか?
トレインは、以下の4つの重要な柱を通じて脱炭素化に取り組んでいます:
1. 省エネ(エネルギー効率):エネルギー効率の向上(それによる排出量の削減)に注力すること
2. 電化:建築物(ビル・施設)のエネルギー源を、敷地内の化石燃料から電気エネルギーへとシフト(熱源転換)すること
3. 冷媒管理:空調(HVAC)設備において低GWP(地球温暖化係数)冷媒への転換を進めるとともに、冷媒漏洩による影響を最小限に抑えるための適切な現場管理を行うこと
4. 再生可能(クリーン)エネルギー:自然界に存在し、常に補充され続ける太陽光や風力などのエネルギー源へと移行すること
これらの柱を通じて、トレインは持続可能な未来を目指しています。