1. 環境省の調査結果(2018年12月)
オゾン層を壊す特定フロンに代わって普及している代替フロンは、冷蔵庫や空調などで広く使われています。しかし代替フロンの温暖化効果はCO2の数百~1万倍に上るとされているため、廃棄時に都道府県が指定する回収業者が引き取り、冷媒を抜き取るという処分方法を義務付けています。
環境省が2018年12月、代替フロンであるハイドロフルオロカーボン(HFC)を使った機器を取り扱う約3,500の回収業者を対象に実施した調査では、業務用の中型冷凍・冷蔵庫で未回収率が8割以上、空調は約7割に上りました。
未回収率が大きい結果となった最大の要因は、老朽化した建物を取り壊すときにエアコンなどを取り外さず、専門の回収業者に引き渡さずに廃棄される場合が多いことにあるとみられています。
2. 4つの面からの取締強化を検討
この結果を受け、環境省と経済産業省は1月16日、合同委員会を開き、冷蔵庫や空調の冷媒に使う代替フロンについて、不法に廃棄する業者への罰則を強化する方針を決めました。
具体的には、次の4つの面からの対策、取り締まり強化が検討されました。
(1)業務用冷凍空調機器ユーザーによる機器廃棄時
(2)解体元請業者による建物解体時
(3)廃棄機器引取業者による廃棄機器引き取り時
(4)関係者間の連携促進
(1)~(3)の各局面については、冷媒フロン類引渡義務を促進するために、次の取り締まりが検討されました。
(1)ユーザーに対し、機器の点検記録の長期保管の義務化、引渡義務違反への直接罰。
(2)建物解体前に義務付けられているフロン類使用機器の有無をユーザーへ確認するための事前説明が確実に行われるよう、解体元請業者とユーザー双方に事前説明記録の保存の義務化。また、建物届け出情報の提供要請があった場合の対応、都道府県による解体元請業者への報告徴収や、解体現場への立ち入り調査を可能にすること等。
(3)廃棄物・リサイクル業者などが、機器引き取り時に自らフロンを回収するか、回収済みかどうかを確認できない機器については回収を制限すること等。
3. 取締強化の背景と現在(2026 年時点)
2016 年に閣議決定された地球温暖化対策計画では、フロン類の回収率目標として 2020 年に 50%、2030 年に 70% が掲げられました。しかし実際には、回収率は長年 3 割台で停滞し、目標との乖離が大きい状況が続いていました。こうした背景から、2020 年目標の達成に向けて 取締強化や罰則強化の必要性が議論されました。
従来は、ユーザーが 繰り返し違反しない限り、取り締まりの対象となりにくい運用が行われていましたが、当時の改正案では 一度の違反でも罰則の対象となる 方向性が提示されました。
この改正案に対するパブリックコメント募集はすでに終了し、その後の国会審議や所定手続きを経て、フロン排出抑制法は順次強化されてきました。2026 年現在も、回収率向上を目指した管理強化が継続して進められています。