平成28年度(2016)フロン類算定漏えい量の集計結果が公表

2015年4月に施行されてから3年が経過したフロン排出抑制法には、フロン類算定漏えい量報告・公表制度があり、3月23日に、平成28年度フロン類算定漏えい量の集計結果が公表されました。

今回の公表は2度目となります。ここでは、主な項目について初年度の平成27(2015)年度と数値比較を行います。

【出典】 

 

1. 特定漏えい者数、特定事業所数、各算定漏えい量の合計

特定漏えい者数、特定事業所数、各算定漏えい量の合計
  • *  特定漏えい者:事業者全体で1,000 tCO2以上のフロン類の漏えいがあった管理者
    ** 特定事業所:1,000 tCO2以上のフロン類の漏えいがあった事業所

特定漏えい者数、特定事業所数ともにその数、及び算定漏えい量について前年より減少しました。

2. フロンの種類別特定漏えい者数(2016年度上位10フロン)

フロンの種類別特定漏えい者数(2016年度上位10フロン)

上位6位までを見ると、R-410AとR-404Aの特定漏えい者数の順位が2位と3位で入れ替わっています。最も大きく増えたのは7位のR-32で、前年比5割増以上の事業者数となりました。最も減ったのは8位のR-123で、事業者数が前年比約1割減少しており、上記表には記載していませんが、事業所数では前年比約3割減少しました。

3. 業種別(中分類)特定漏えい者数(2016年度上位10業種)

業種別(中分類)特定漏えい者数(2016年度上位10業種)

上位3業種(各種商品小売業、飲食品小売業、食品製造業)で全体の半数を超える事業者数となりました。地方公務、輸送用機械器具製造業、各種商品小売業では増加が見られますが、他業種では減少または横ばいでした。

4. 都道府県別特定漏えい者数(2016年度上位10都道府県)

都道府県別特定漏えい者数(2016年度上位10都道府県)
*** 特定漏えい者数は複数都道府県について報告した特定漏えい者があるため、合計値は単純合計ではない。

神奈川県が2015年の東京都と入れ替わりで最多となりましたが、件数は同数でした。東京、千葉、愛知、茨城を除き件数は増加しました。

5. フロンの種類別算定漏えい量(2016年度上位10フロン)

フロンの種類別算定漏えい量(2016年度上位10フロン)
*** 特定漏えい者の算定漏えい量の合計

算定漏えい量(特定漏えい者)は上位3フロン(R-22、R-404A、R-410A)で全体の9割を超える数値となっています。またR-12、R-507A、R-23は大幅に算定漏えい量が減少しました。

6. 業種(中分類)別算定漏えい量(2016年度上位10業種)

業種(中分類)別算定漏えい量(2016年度上位10業種)

上位4業種(各種商品小売業、飲食料品小売業、食料品製造業、化学工業)で全体の8割弱を占める算定漏えい量となりました。漁業(水産養殖業を除く)が前年比5割以上、鉄鋼業、倉庫業、化学工業が前年比3割以上減少しました。輸送用機械器具製造業が前年比約18%の増加、他業種は前年比数%増かほぼ横ばいとなりました

7. 都道府県別算定漏えい量(2016年度上位10都道府県)

都道府県別算定漏えい量(2016年度上位10都道府県)

上位10都道府県で全体の5割以上の算定漏えい量を占めています。最多は2年連続東京都で変わらずの結果ですが、2位以下は順位の入れ替わりが多い結果となりました。

8. 各社の対応

昨年に引き続き、特定漏えい者各社のフロン類算定漏えい量の削減に関し、実施した措置の内容、また実施を予定している措置の内容についても公表されています。

2016年度から、特定漏えい者に係る関連情報のうち、「フロン類算定漏えい量の削減に関し実施した措置」と「フロン類算定漏えい量の削減に関し実施を予定している措置」について記載内容が表としてまとめられていますので、以下に抜粋します。

措置

【出典】環境省・経済産業省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 に基づくフロン類算定漏えい量報告・公表制度による 平成 28(2016)年度フロン類算定漏えい量の集計結果」平成30年3月23日(P.63)

 

実施した措置のうち、「機器の施工に関する取組」と「日常点検(簡易点検)における取組」が最も多く、次いで「ノンフロン機器の導入」と続きます。

一方、実施を予定している措置については「その他の機器導入・更新」が最も多く18件と目立っており、「老朽化機器・漏えい量が多い機器の更新」と「ノンフロン機器の導入」にも関心が集まっているようです。