パッケージエアコンとターボ冷凍機が指定製品に新たに加わる見込み~フロン排出抑制法 指定製品制度~

2017年12月、産業構造審議会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策ワーキンググループ(以下、産構審)の第12回会合にて、新たな指定製品であるターボ冷凍機とパッケージエアコンの目標値及び目標年度が設定されました。これに関連し、今回はフロン排出抑制法に定められている指定製品制度について解説します。

1. フロン排出抑制法における指定製品制度の位置付け

2015年4月1日に施行されたフロン排出抑制法では、次の5つの取組みが求められています。

  1. フロン製造業者等の取組み
  2. 指定製品製造業者等の取組み
  3. 第一種特定製品の管理者の取組み
  4. 第一種フロン類充塡回収業者の取組み
  5. 再生・破壊業者の取組み

出典:環境省 フロン排出抑制法ポータルサイト「フロン排出抑制法の概要」

今回取り上げる指定製品制度は、上記2にあたるもので、製造業者等、つまり主にメーカーに求められている取組みとなります。

2. 指定製品製造業者等の取組みについて

フロン排出抑制法では、日本において大量に使用され、かつ、相当量のフロン類が使用されているものであり、その使用等に際してのフロン類の排出の抑制が技術的に可能である製品を国は「指定製品」として指定しています。

この指定製品を製造・輸入等する事業者は、国が定める「指定製品の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従い、次の3つによるフロン類の使用における合理化への取組みが求められています。

(1)指定製品に使用されるフロン類のGWP(※)の低減

(2)製品の設計・製造等におけるフロン類の充塡量の低減

(3)使用するフロン類などに関する表示の充実

※GWP:地球温暖化係数

この製品製造業者が取組む「指定製品制度」は、フロン類使用製品の低GWP・ノンフロン化を進めるため、家庭用エアコンなどの指定製品の製造・輸入業者に対して、温室効果低減のための目標値を定め、製造・輸入業者ごとに出荷する製品区分ごとに加重平均で目標達成が求められている制度です。

例えば、大型は区分a、中小型は区分bとし、それぞれの区分ごとの「冷媒のGWP値」「冷媒量(kg)」「出荷量(台)」について、低GWP化に向けて目標年度と目標値を設定します。そして各社の創意工夫により、低GWP冷媒への転換等に向け、達成のために取組みを実施します。

しかし目標年度以降に、指定製品の使用が制限されるというわけではありません。各メーカーが出荷する製品の台数ベースの加重平均が、このGWPを下まわるように新製品を出荷しなければならないということです。

3. 現行の指定製品

現行の指定製品は、製品の技術開発及び安全性評価等の状況を踏まえ、現在は次の7区分が指定されており、それぞれに環境影響度の目標値であるGWPと目標年度が定められています。また、指定対象外の製品についても指定要件が整い次第、随時指定を検討するとされています。

指定製品

4. 指定製品へ追加が見込まれる製品

2017年12月の産構審 第12回会合で設定された指定製品は、ターボ冷凍機とパッケージエアコンで、それぞれの環境影響度の目標値(GWP)、及び目標年度は次の通りです。

指定製品へ追加が見込まれる製品

参考:平成29年12月18日 経済産業省製造産業局 化学物質管理課 オゾン層保護等推進室「指定製品の目標値及び目標年度の設定について(案)」

上記2つの製品は、経済産業省製造産業局 オゾン層保護等推進室による2014年8月の「改正フロン法における指定製品の対象と指定製品製造業者等の判断の基準について(中間とりまとめ)」では、目標値及び目標年度を設定することは妥当ではないとされていました。しかしその後、両分野における課題が解決されたと考えられ、新たに目標値及び目標年度が設定されました。

これら2つの製品の指定製品への追加は、今後、パブリックコメント、国会での審議を経て正式に行われる見込みです。