COP24で温暖化防止へ前進したか?

2018年12月にポーランドで開かれた第24回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP24)は会期を1日延長し、15日に「パリ協定」を運用する実施指針について合意、採択しました。今回はこのCOP24の内容についてまとめてご紹介します。

1. COP24の背景

パリ協定は、2015年にパリで開かれたCOP21で合意し、2016年11月に発効した地球温暖化対策の国際枠組みで、産業革命以前より気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げました。約180カ国が批准したものの、削減に向けた詳細な実施方針が決まっていなかったため、2020年からの適用に向け、2018年12月2日から15日にかけてCOP24で話し合われました。

2. COP24の焦点~先進国と途上国の公平性

COP24の主な焦点となったのは、先進国と途上国の公平性についてでした。議論の結果、先進国による途上国への資金支援や、先進国と途上国の削減目標の折り合いについて、原則的に公平なるルール化が合意されました。

資金支援

フランスやドイツなどの先進国が、途上国向けの資金支援を一定額増やすと表明し、先進国が2年おきに支援額の具体像を公表するルールが取り決められました。

パリ協定が採択された2015年当時、先進国は途上国へ2020年までに年間1千億ドルを拠出すると約束していたものの、米トランプ政権が2017年に協定から離脱を表明し、オバマ政権時代に約束していた資金拠出を取りやめたことから、その分をいかに先進国が穴埋めできるかが課題となっています。

削減目標や量の検証

削減目標や削減した総量の検証については、先進国と途上国で差をつけず、共通のルールで運用していくことが合意されました。そして途上国にも先進国と同じ情報公開が求められます。

3. 削減目標の上積みを目指す深堀りの意向も一致

OP24では、各国が掲げる現行の削減目標について、上積みを目指した深掘りを行っていく意向も一致しました。

パリ協定では、各国が温暖化ガスの削減目標を公表し、気温上昇を2度未満に抑えることの達成を目指していました。しかし、2018年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が「1.5度報告書」を公表しました。これは、地球温暖化を2度以上ではなく、1.5度に抑えることで世界の海水面上昇などをはじめとした多くの気候変動の影響が回避できることを強調したものです。これを受け、COP24では削減目標をより深堀りしていくことが議論されることとなりました。

4. 2020年までに削減目標を再提出

COP24では、パリ協定の実施指針がまとまりましたが、協定が掲げる地球温暖化防止が実現できるかどうかは、各国の今後の取り組みにかかっています。参加国はCOP24の合意により、2020年までに削減目標を現行より増やせるか検証した上で、目標を再提出する必要があります。

日本は、2030年度に2013年度比で26%の削減目標を公表しています。ここからさらなる上積みを求められるとみられています。